【上級編】PLC(シーケンサ)でエンコーダの使用例 -ワークトラッキング(搬送物追跡)ー

エンコーダという機器をご存知でしょうか。あまり知られていないと思いますが、一定距離進むと1パルス出力してくれる機器のことをエンコーダと言います。
その『エンコーダがPLCを使ってどのように使用できるか』というのは、さらに知られていないと思います。

今回はそのエンコーダをどのように使えばいいのか。またPLCとエンコーダはどのように組み合わせ、制御に用いるのかをベルトコンベヤのワークトラッキングの方法を紹介を交えながらお話します。

まず『ワークトラッキング』ですが、これは『ワーク』『トラッキング』、別々に説明します。

・『ワーク』ですが、製造過程ですの加工物、つまり製品として搬送されている工場の全てのものを指します。
ワーク - Wikipedia

・『トラッキング』とは、追跡や追尾の意味で、搬送物がどのような場所に存在するかを追跡するという意味で使用されます。

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言葉の意味を知った所で、本題に入りたいと思います。

【目次】

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なぜトラッキングが必要なのか

まず、なぜエンコーダによるトラッキングが必要になるのでしょうか

それはコンベヤなどの機械駆動が搬送能力に対して少ないため、エンコーダによるトラッキングが必要となるのです。
例としては、コンベヤ1台にワークが2個以上ある状態のことです。

この場合ですとセンサーを2個付けても、ワーク間のピッチがずれてしまえば、駆動が1つですので、ワークの監視をすることが出来なくなります。
しかし、このワーク監視を可能にできる方法がトラッキングであり、今回はエンコーダを用いた方法を紹介します。

エンコーダ入力は高速カウンタユニットが必要か?

エンコーダ入力は高速なため、基本的には高速カウンタユニットが必要となります。
しかし、エンコーダ入力信号が2~5msec間隔であればPLCの高速入力ユニットを使うだけでも良いのです。

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パルス密度計測 SPD命令

なぜ高速カウンタユニットが必要ではなくなるのか。

それは、PLCプログラムのパルス密度計測SPD命令という指令があり、最小で1msecの信号を計測することが可能だからです。
このSPD命令を使うことにより、2~5msec間隔の信号入力ならば高速カウンタユニットが必要ではなくなるということになるのです。

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エンコーダ入力時間について

エンコーダをどのように使用するかによって、入力時間の計算が変わってきます。

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関連記事を参考にして頂きたいのですが、再度説明致します。
エンコーダの設置方法は2通りくらいあり、エンコーダの出力軸に円盤を取り付ける方法とエンコーダの出力軸にモータ駆動軸を直接取り付ける方法があります。
今回はベルトコンベヤのエンコーダトラッキングということで、エンコーダの出力軸に円盤を取り付けた場合の計算の一例を載せます。

入力時間計算方法

まず、どのような場面でエンコーダを使うか、図で再確認しましょう。

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上記図のイメージでは、ベルトコンベヤにワークが3つあり、これらをカメラ検査しプッシャーなどで押し出す場合、カメラとプッシャーの間にワークが2個以上入る時にトラッキングが必要となります。

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今回は速度が変化するという条件とし、エンコーダでのトラッキングを行うとします。

上記図の条件として、エンコーダの性能は
・分解能1回転あたり100パルス
・エンコーダの出力軸の円盤直径を50mm
・ベルトコンベヤは最大30m/min
と仮定します。

最終的には入力時間がわかれば良いのですが、入力時間を計算するにあたり以下の手順が必要となります。
1.エンコーダ1パルスあたりベルトコンベヤは何mm進むのか
2.ベルトコンベヤの最大速度は1secあたり何mm進むのか
3.エンコーダ1パルスあたり何msecの入力時間となるのか
上記手順で計算することが可能となります。

1.エンコーダ1パルスあたりベルトコンベヤは何mm進むのか

エンコーダとは、一定距離進むと1パルスをPLCに出力する装置です。
そのエンコーダはいったい何mm間隔でPLCに信号を出力するのでしょうか。
出力軸にある円盤直径は50mmです。円周は、直径d × 円周率πで求められます。
ですので、円周は50[mm] × π = 50π[mm]となります。円周からエンコーダ1パルスあたりの移動量を計算することができ、円周50π[mm] ÷ 100[pulse/rev] = 0.5π[mm/pulse]となります。
π=3.14とすると、1パルスあたり1.57mm進むということがわかります。

2.ベルトコンベヤは1secあたり何mm進むのか

ここでは単純な単位換算をします。ベルトコンベヤは最大速度30m/minなので、30[m/min] ÷ 60[sec] = 0.5[m/sec] = 500[mm/sec]となります。

3.エンコーダ1パルスあたり何msecの入力時間となるのか

最後は入力時間です。
エンコーダの1パルスあたりの移動時間 1.57[mm/pulse]
ベルトコンベヤの1secあたりの移動量 500[mm/sec]
1.57[mm/pulse] ÷ 500[mm/sec] = 0.0034[sec/pulse] = 3.4[msec/pulse]
つまり、1パルスあたり3.4msecとなることが計算でわかりました。

よってPLCでのSPD命令で入力カウントすることが可能ですので、高速カウンタユニットが必要ではないということがわかりました。

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PLCとエンコーダの接続方法

下記関連記事に接続方法が説明してありますが、ここでも説明させて頂きます。

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取り込みたいA相、B相、Z相を入力Xへ、茶色の配線を+電源、青色の配線を-電源へ接続すればPLCとの接続は完了です。

PLC内のデータレジスタを使用

トラッキングをどのようにするかは、一例として過去記事を参考にしてもらいたいです。

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関連記事はタイマーでのデータシフトですが、今回の方法としては、データレジスタにワークデータ(数値)を書き込み、データシフトしていきます。エンコーダということで、エンコーダから1パルス入力があれば、1データレジスタシフトするようにします。1データレジスタは先程の計算より1.57mm離れているということになります。

動作方法 インデックス修飾

エンコーダトラッキング回路が完成しても、最終的にどのように使えるか、わからないと思います。
どのようにトラッキングデータを使えば良いのでしょうか。それはインデックス修飾です。
インデックス修飾については関連記事を参考にしてください。

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インデックスレジスタのZをデータレジスタDに修飾することによって、[<> K0 D***Z0]とすればデータシフトしてきたデータを参照し、動作回路に組み込むことによって動作させることができます。

参考プログラム

私が今回考える参考プログラムを載せます。

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トラッキング回路

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上記のようにD600の部分をタッチパネルで設定できるようにすれば、タイミング調整をタッチパネルから行うことができるようになります。

終わりに

いかがでしたか。なかなかエンコーダのトラッキング方法が載っていないので書きました。
エンコーダをどのように使うかということが具体的にわかったと思います。
不明な点があればコメントしてください。

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