漏電ブレーカー(漏電遮断器)とはどのようなものかご存知でしょうか。
漏電遮断器は、配線用遮断器に漏電検知機能を追加したもので、配線保護と漏電防止を併用することができます。
【目次】
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配線用遮断器につきましては過去記事を参考にして頂けると助かります。
一応参考として一文は抜粋しました。
配線用遮断器の役割
冒頭で説明した通り、配線用遮断器の役割は配線の保護を目的としています。
なぜ電線保護が必要なのか
配線保護を行わないとどうようになると思いますか?
配線用遮断器がなく、電線に定格以上の電流が流れた場合電線は燃えてしまう...(らしい)のです。
実際に燃えているところ見たことがないのでわからないのですが、確かに燃えると思います。短絡すると火花が出ますし。笑
ですので、設計を行う上で配線用遮断器の選定は重要な部分といえます。
配線用遮断器の仕組み
AF(アンペアフレーム)とは
ブレーカーの容器の大きさ及び最大定格電流をあらわす。例えば30AFの場合は構造上は最大30Aまで適用できる。原則としてAFの値が大きくなるにつれて容器寸法、遮断容量が増加するが、変圧器直下など短絡容量は状況により大きく変化するため遮断容量が高容量になっている高性能品も存在する。
配線用遮断器 - WikipediaAT(アンペアトリップ)とは
ブレーカーの定格電流をあらわす。例えば20ATの場合は20Aが定格となる。また高価ではあるが、将来的な対応のためにアンペアフレームのサイズ内で定格電流を可変できるタイプもある。
一次側(上流側)・二次側(下流側)の遮断器との保護協調をとるため、トリップ時間の切り替えが可能なものもある。
上記をwikiより引用しましたが、要するにAF(アンペアフレーム)はブレーカーが耐えられる電流値、AT(アンペアトリップ)はブレーカーがトリップする電流値です。
ブレーカー動作原理
正直内部構造はわからないのですが、バイメタルなどの電流検知を行い、ブレーカーをトリップさせることができます。方式は様々ありますので、下記を参照して下さい。
熱動電磁式
完全電磁式
電子式
※上記詳細は三菱電機株式会社をご確認下さい。
www.mitsubishielectric.co.jp
配線用遮断器の選定方法
本題に入ります。配線用遮断器の選定方法ですが、まずはじめに流れる電流を把握します。
電流を把握理由は、AT(アンペアトリップ)を設定するためです。
最終的なAT値は流れる電流値 × 1.2~1.5倍程に設定します。モータが追加になったり、納品後改造でモータがさらに追加となったりと、様々な要因で少し大きいATを設定しておくと便利で融通が利きます。なかなか難しいかもしれませんが、それが設計の醍醐味でもあります。笑
ATが決まれば自然とAFも決まってきますので、まずはATを決定します。
AFの選定方法ですが、15AT以下なら30AFを選定します。20ATだと30AFに対して余裕がないかなと私は思いますので、1ランク上のAFを選定します。
このように配線用遮断器の選び方でも、今後の設備増設、改造などを考えて設計する必要があります。
最初は慣れないかもしれませんが、今後の自分のためにも、自分で考えて設計するようにしていきましょう。
詳細は上記過去記事のご参照をお願いします。
漏電遮断器の役割
冒頭で話した通り、漏電遮断器とは配線用遮断器に零相変流器を取り付けたものであり、配線の過電流と漏電した電流を検知した場合に一次側電源を遮断するというものです。
なぜ漏電検出が必要か
漏電検出の問題定義をしました過去記事を紹介します。
こちらも一部抜粋しました。
問題定義 家庭用洗濯機
上記図のように家庭用コンセントAC100Vから家庭用の洗濯機が電源供給を受けていたとします。
しかし、洗濯機はアース接地を行っていませんでした。
家庭用洗濯機が絶縁破損した
洗濯機も時間が経てば絶縁破壊となっていることがあります。
ここでいう絶縁破壊を説明しますと、『洗濯機の電源供給分AC100Vが洗濯機を触ることで電源供給される』ということです。
つまり、洗濯機自身が電源を供給するコンセントになってしまうようなものです。
コンセントに触れるとあなたの体にはAC100Vの電圧が掛かるということになるのです。
これを『感電』といいます。
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人体に流れる電流を計算する
漏電しているからといっても、どの程度の電流(漏電電流)が流れるかを理解しないと漏電の危険性がわかるはずがありません。
今回は、人体抵抗を約500Ω(オーム)として計算します。
※人体抵抗は、体が濡れている時や乾燥している時など状況に応じて異なることは理解しておいて下さい。
漏電電流は『電圧V = 電流I × 抵抗Rのオームの法則』で簡単に計算することができます。
つまり、100V ÷ 500Ω = 0.2Aとなるわけです。
漏電電流の危険性
感電時の人体への影響 – piyajk.com
上記表はpiyajk様より引用させていただきました。
0.2A = 200mAなのですが...呼吸停止してしまいますね。
これはまずいです。笑
詳細は上記過去記事のご参照をお願いします。
漏電遮断器の仕組み
漏電遮断器はどのように動作しているのでしょうか。
ここでは漏電遮断器がどのように漏電を検知するかについて説明していきたいと思います。
零相変流器とは
電流は行き帰りの大きさが同じです。
つまり、異なる部分に電流が流れると行き帰りで差が生じます。
その漏れた電流を感度電流といいます。
感度電流の選定
感度電流の選定方法を、教えてください。 - ブレーカ - Panasonic
引用:Panasonic
感度電流は条件により様々ありますが、家庭用や工場の機械装置は感度電流30mAで選定してよいと思います。
ただし、インバータなどの周波数変換器があると、漏電電流がもともと高くなることがあるので、注意が必要です。
終わりに
感電防止のためには、必ず漏電遮断器を設置するようにしてください。
感度電流さえ選定してしまえば、あとは配線用遮断器と同様にAF(アンペアフレーム)とAT(アンペアトリップ)を選定すれば良いです。広告