『CC-Link』という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
FA関係者なら聞いたことがあると思います。簡単に言いますと、『省配線の設備ができますよ』という利点が多いシステムです。
まず、CC-Linkについて説明しますと、CC-Linkとは三菱電機(株)が1996年から提唱している同社のPLC(MELSECシーケンサ)を中心とした、新しいオープンなフィールドネットワークControl & Communication Linkの略称です。
そんなことはわかるという方が多いでしょうか。
さらに説明を付け加えると、CC-Linkは各ユニットへ伝達する情報をRS-485のシリアル通信をベースに送受信する手法です。
シリアル通信とは、ある規則(STX ??? EXT)によって情報をお互いに送受信することができます。
一定のレベルを超える電気制御屋さんでないと、CC-Linkシステムを構築し運用できませんので、この記事を参考にして頂けると幸いです。
【目次】
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インバータとは
詳細記事は下記の過去記事より参照することができます。
FR-E700シリーズ
インバータを簡単に説明すると『周波数変換器』です。インバータからの出力周波数が変わることによって、モータの回転数も変化しています。メカニズムとしましては、下記サイトに詳しく載っています。
引用:三菱電機
私から簡単に説明しますと、
2.PWM(パルス変調)制御によって擬似的に目標の電圧、周波数を成形
3.PWMを行うために様々なスイッチング技術がインバータに使われている
インバータ内部回路図
インバータは様々な場面で使われますので、使い方を覚えるようにしましょう。
FR-E700シリーズとは
三菱電機が販売しているインバータで、PU運転や外部信号運転、CC-LinkやRS-485通信が可能となります。またパラメータ次第でアドバンスト磁束ベクトル制御などのトルク不足を解消できる方法もあり、幅広く使用することが可能です。
オプション
操作説明
操作パネル
パラメータ一覧
運転方法
PU運転
外部信号運転
トラブルシューティング
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FR-E700シリーズのCC-Link設定方法
詳細は過去記事の参照をお願いします。
FR-E700シリーズをCC-Linkに対応させるにはFR-A7NC Eキットというオプション品が必要となります。
FR-A7NC Eキットの取付方法は上記画像の通りに行えば簡単に行うことができます。
配線
CC-Linkの配線はインバータに取り付けたFR-A7NC EキットのDA,DB,DG,SLD,FGに渡り配線を行えば良いだけです。
これが省配線と呼ばれるCC-Linkの特徴です。
終端抵抗設定
CC-LinkはRS-485ベースのシリアル通信と説明しましたが、シリアル通信というのは終端抵抗が必要となります。
全てのインバータに終端抵抗が必要ということではなく、末端のインバータに設定を行えばよいです。基本的にはCC-Linkシステムの中で2箇所に終端抵抗を設定すればよいです。
パラメータ一覧
パラメータの設定は
・占有局数を選択する ※通常使用なら0で良い
・通信局番を決定する ※占有局数から決まる
・ボーレート選択をマスター局と同じにする
運転モード
占有局数
占有局数とは、CC-Linkシステム構成中にそのユニットがどれくらいの通信量を有するのかを示しています。
多くのユニットは占有局数が決まっているので毎回調べる必要があります。
CC-Linkは無限に繋げられるものではなく、計算式によってCC-Linkシステム構成の限度を把握することができます。
通信局番
占有局数が決まれば通信局番が決まります。上記のように設定すれば問題ありません。
ボーレート
ボーレートとはCC-Linkの通信速度のことです。
早ければ早いほど良いですが、その代わり通信可能距離が短くなります。良い所があれば悪い所がある。
ボーレートを決定するのはなかなか難しいですが、通信可能距離も計算することができますので参考にすると良いです。
Eキット運転状態
リモートデバイスとは
CC-Linkを使ったことがない人がつまづくリモートデバイスについて説明します。
まず、CC-Linkとはシリアル通信と説明しましたが、要するにCC-Linkにデータが伝達されてくるわけです。
そのCC-Linkに乗せられてきたデータをPLC側でどこのデータなのかを理解できるように、仮想的に入力、出力、データレジスタを割り付けることによって、PLCからインバータ、インバータからPLCへと通信を行うことができるようになります。
このリモートデバイスに対する考えは、PLCとの通信で必要であり、PLCのPCパラメータ設定でも重要となります。
リモート入力RX、リモート出力RY
リモート入力RX インバータ→マスタ局
リモート出力RY マスタ局→インバータ
リモートデータレジスタ
リモートレジスタ詳細 RWw0, RWw1
リモートレジスタ詳細 RWw2, RWw3
リモートレジスタ詳細 RWr0, RWr1, RWr2, RWr3
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マスターユニットQJ61BT11Nとは
詳細は過去記事の参照をお願いします。
www.niwakafa.comQJ61BT11NはPLCとローカル局(インバータやロボシリンダなど)を通信させるために必要なユニットです。
通常、QJ61BT11NはPLCに取り付けマスター局にします。マスター局とは様々あるローカル局にアクセスする権利があり、全てのローカル局の情報をモニタでき、出力することができます。
つまり、マスター局で全てのローカル局を制御することができます。
CC-Linkシステム設定方法
様々なシステムがありますが、今回は簡単な例としてインバータのみのシステムを考えたいと思います。
上記のようなシステムを考えたいと思います。
インバータのCC-Link設定方法は上記過去記事を参照して下さい。
PCパラメータ設定
QJ61BT11Nを先頭I/Oの0000に設定します。
※これはI/Oユニットや特殊ユニットが0000にあっても、占有する点数さえ間違えなければQJ61BT11Nをどこに設置しても問題ないです。
ネットワークパラメータ CC-Link設定
上記のCC-Link部分をクリックします。
ネットワークパラメータが開きましたら設定をしていきます。
リモート入力(RX):ローカル局の入力
・リモート出力(RY):PLC→ローカル局への出力を設定
・リモートデータレジスタ(RWr):ローカル局→PLCへの入力データレジスタを設定
・リモートデータレジスタ(RWw):PLC→ローカル局への出力データレジスタを設定
CC-Link構成設定
インバータが4つなので上記のように設定します。
エラーチェック
エラーチェックして問題なければ上記のように表示されます。
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CC-Link通信の速度設定方法
詳細は過去記事の参照をお願いします。
問題定義
今回は60Hz時のコンベヤ速度を60m/minとし、設定したい時の速度を30m/minとしてます。
最終目標はインバータへ出力する周波数を決定することです。
結果から申しますと
F = v'[m/min] ÷ 60.00[Hz] × v[m/min]
で求めることができます。
『いやいや、計算式だけ答えられても困るよ!』
という方は続きをご覧下さい。
タッチパネルでの動作確認
『いやいや、そういうことでもなくて!』
という方は続きをご覧下さい。
プログラム例
下記より計算式について解説します。
計算式について
1Hzあたりにコンベヤの速度がどれくらいになるのかを算出します。その周波数から設定したい速度を乗算すると、設定する周波数を求めることができます。
データレジスタ転送先
演算した周波数はRWwn+1の設定周波数(0.01Hz単位)に書き込めば良いです。
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プログラム例
詳細は過去記事の参照をお願いします。
異常回路
インバータ異常は入力X507に入ります。
また、他局データリンク通信異常も見てあげる必要があります。
出力回路
簡単な説明となりますが、まずは回転方向を設定します。
今回のインバータパラメータはX500、Y500から始まりますので、Y500:正転、Y501:逆転となります。
インバータ異常が発生した場合Y51A:リセット出力にてインバータリセットを行うことができます。
インバータの出力周波数は必ずRAMに書き込んでください。
EEPROMに書き込むと書き込み制限回数を超えてしまう可能性がありますので注意が必要です。
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終わりに
CC-Linkとは非常に便利なシステムです。
使用する際は参考にしてみてください。
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