積算タイマーSTは実務で非常によく使用することがあります。
私はコンベヤメーカー勤務のため、センサーの取付が斜めになっていたり、ワークピッチを検出してNG排出して欲しいなど機械的要因によるプログラムの複雑化が求められます。
外的要因によるプログラムの複雑化はプログラマーの技術力を向上させますが、残念ながら機械設計の技術力が低下してしまうのは覚えておいた方がよいでしょう。
なぜならプログラムが複雑な処理をする=機械的には簡単な機構ということが多いのです。
機械的に簡単な機構のため、プログラム上で処理を上手く行い、機械に不都合を起こさないようにしているからです。
そのため、機械は簡単、プログラムを複雑にするという公式ができてしまい、機械設計の技術力が落ちてしまうのです。
話を戻しますが、今回は積算タイマー回路ST 実務に直結する使い方 GX Works3を紹介します。
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積算タイマー回路ST ワーク検出ONディレー回路
ワーク検出ONディレー回路 参考例
Point.Y0:コンベヤ起動ONとX0:ワーク検出センサーがONで積算タイマー計測、X0がOFFで積算タイマーを0リセットする
ワークがコンベヤ上に流れてきており、センサーが斜めに設置されております。
斜めに設置されていると、コンベヤのエンドまで行く前にセンサーがONしてしまうため、タイムラグを設けないとコンベヤのエンドまで行かないという状態になってしまいます。
このようにセンサーが斜めに設置されている場合は、積算タイマーSTやカウンタC回路を使用すると遅延を設けることができ、Y0:コンベヤ駆動の条件もプログラム上に加えれば、途中停止した際にも安全に再起動することができます。
カウンタC回路 実践
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下記に積算タイマーSTを用いた参考プログラムを紹介します。
ワーク検出ONディレー回路 参考プログラム
Point.Y0:コンベヤ起動ONでST0を計測、X0:ワーク検出がOFFでST0を0リセット
X0のb接点をRST ST0に、Y0のa接点をST0の計測部分に記述します。
初心者などがやってしまいがちなのが、X0のa接点もY0のa接点の隣に入れたがります。
X0のa接点をY0のa接点の隣に入れなくても、X0のb接点でRST ST0が入力されるので問題ありません。
余計な接点はなるべく入れないようにしましょう。
ワーク検出ONディレー回路 参考プログラムシミュレーション動画
Point.Y0:コンベヤ起動やX0:ワーク検出をON、OFFしている
Y0:コンベヤ起動やX0:ワーク検出をON、OFFさせています。
状況に応じてカウントがどのようになっているかというと、
① Y0:ON X0:ON ➡ ST0:計測
② Y0:OFF X0:ON ➡ ST0:計測停止中、計測値は保持
③ Y0:ON X0:OFF ➡ ST0:0リセット
④ Y0:OFF X0:OFF ➡ ST0:0リセット
実際、上記のように計測値が変化しているか確認してみてください。
積算タイマー回路ST ワークピッチ検出回路
ワークピッチ検出 参考例
Point.X0:ワーク検出のみでプログラム上でワークピッチ詰りを検出する
ワークピッチ検出プログラムを作成する際、センサーをたくさん付ければできると思っている方が私の会社にもたくさんいますが、ワークピッチ検出プログラムはセンサー1つ付ければ成り立ちます。
センサー1つで定点に設置し、ワークのON立上りでプログラム上演算を上手くやると簡単にワークピッチ詰りを検出することが可能となります。
ただし、このワークピッチ詰りを検出することがなかなかできるソフト屋さんがいないし、機械システムに組み込むことが少ないです。
私はワークピッチ検出回路に対して作り慣れているので簡単にイメージできますが、作成することに慣れていない人は自分で考え手で書き、私の参考プログラムを何度も見ることが良いかと思います。
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ワークピッチ検出プログラムの方法について紹介します。
ワークピッチ詰り検出 参考プログラム
Point.X0:ワーク検出ON立上りでM0:ワークピッチ詰りをリセットする
プログラムの流れを見ていきましょう。
① X0:ワーク検出ON立上り ➡ RST M0:ワークピッチ詰り検出リセット
② X0:ワーク検出ON立上りかつST0:ワークピッチ正常がOFF ➡ SET M0:ワークピッチ詰り検出がON
③ X0:ワーク検出ON立上り ➡ RST ST0:ワークピッチ正常リセット
④ RST ST0でなく、Y0:コンベヤ起動ON ➡ ST0:ワークピッチ正常の計測
①~③はX0:ワーク検出ON立上りでM0やST0をリセットしています。
リセットするタイミングを変更してしまうとこのプログラムは正常に動作しないです。
このラダープログラムの処理が難しい部分であり、本来シングルタスクであるPLCを仮想的にマルチタスクにしていることが要因で発生する不都合です。
このラダープログラムの仮想的マルチタスクを理解して利用するのがプロのプログラマーでしょう。
ワークピッチ詰り検出 参考プログラムシミュレーション動画
Point.プログラムの流れを確認しながらシミュレーション動画を確認する
まとめ
・積算タイマーを使用することによって様々なプログラムを作成することができる
・ワーク検出ONディレー回路はコンベヤ駆動の条件を入れると途中停止しても再起動が可能となる
・ワークピッチ検出プログラムを作成するにはラダープログラムの特性を上手く使用することが必要
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